平成15年度

第6回

リヒャルト・シュトラウスからアールヌーヴォーの世界へ

大津 純子(ヴァイオリニスト) 、岡田 知子(ピアニスト)

25/10/2003

講演動画

本公演の映像公開はございません。

講演概要

*エーリッヒ・コルンゴールド:ロマンス *リヒャルト・シュトラウス : ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 作品18 〟 : 歌曲集より〜『子守唄』 『万霊節』 『二人の秘密をなぜ隠すのか』 アールヌーヴォー(art nouveau:"新芸術"の意味)様式って ご存知ですか?ビアズリー・マッキントッシュに代表される、豊穣な装飾と図案的表現・・・植物的モチーフが曲線や曲面を描き、まるで、蔦が絡み合い天上に向かって伸びていくような、そう、あのデザインです。19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパの国々で、建築物・工芸・絵画などの諸芸術において大流行しました。ミュンヘン宮廷オーケストラの名ホルン奏者:フランツ・シュトラウスの子として生まれたリヒャルト・シュトラウス(1864〜1949)は、19世紀末から20世紀に掛けてのドイツが生んだ最大の作曲家と言われています。父親の英才教育の下、幼少よりピアノ、ヴァイオリン、音楽理論を学び、6歳にして最初の作品を作曲。その後も、ピアニスト、作曲家、指揮者として大きな注目を浴びながら、ドイツ・ロマン派音楽を最大に推し進めた大ピアニスト:リストや楽劇王:ワーグナーの後継者として、交響詩、オペラなどの分野で新しい世界を切り開いていきます。『ドン・ファン』作品20、『死と浄化』作品24、スタンリー・キューブリック監督による1968年の名作映画:<2001年宇宙への旅>の冒頭で使われ、すっかり有名になった『ツァラトゥストラは かく語りき』作品30、『英雄の生涯』作品40などの交響詩の数々、オペラ『バラの騎士』作品59などの代表作は、現在、世界中のオーケストラやオペラハウスには欠かせないレパートリーとなっています。斬新な和声の響き、そして、巨大な編成の管弦楽が描く煌めくような色彩は、我々を華麗な<アールヌーヴォーの世界>へと誘います。彼が呈示した近代音楽のひとつの方向性は、次世代に大きな影響を与えました。10代から"モーツァルトの再来"と騒がれ、ヨーロッパで大きく成功していたE.コルンゴールドは、ナチスの迫害を逃れてオ−ストリアよりハリウッドに渡り映画音楽の分野で活躍しましたが、彼もR.シュトラウスの多大な影響を受けた作曲家のひとりです。今回取り上げる、R,シュトラウス最初の歌曲集:「8つの歌」作品10(1882〜83)第8番『万霊節』、また、ヴァイオリン・ソナタ:作品18(1887〜88)などは10代、20代初期の作品ですが、そこには早くも彼の才能の全てが凝縮されています。

概要・略歴

https://www.nii.ac.jp/userdata/karuizawa/H15/karuizawa2003_6.pdf

資料

知と美のハーモニーページ

https://www.nii.ac.jp/about/publication/harmony/#harmony2

NII webページ

https://www.nii.ac.jp/event/karuizawa/2003/