平成16年度
第6回
本公演の映像公開はございません。
ロボットと呼ばれる現代技術は20世紀の後半に誕生し急速に進歩した。そして21世紀の前半にはさまざまなロボットが日常生活のなかに導入され、人間の生活様式を変えることさえも期待されるようになった。 ロボットは総合技術であり、多くの要素をシステム化して構築される。その主な応用分野は作業の自動化と知能化であり、自動車産業や電子工業における製造技術の革新を支えてきた。しかし、いまやパーソナルロボットや人間型ロボットなどが実現されるにいたって、その応用分野も、非製造業におけるサービスや人々の生活支援へと拡大し、ロボットは情報ネットワークと接続される新しいアクティブな情報通信端末としての可能性をも示すようになった。次世代のロボットはあきらかに実世界情報システムとしてその受け持ち範囲を拡大していくものと考えられる。さらに、そのような認識行動計算システムとしての新世代ロボットが普及し、使用される未来社会では、ロボットと人間との関係は、労働インフラ面、認知心理的側面、法律経済学的側面、安心安全システム、アート・デザイン・文学演劇、スポーツ科学、等々、多方面の学問を総合したいわば人間学の課題として取り上げられるであろう。 本講演は、昭和40年大学院に進学したとき以来定年退官するまで取り組んできたロボティクスの研究について行った最終講義の再演です。学生と共に講演者自らが手がけてきたロボティクスの諸様相について、目で見るロボットの発達史としてビデオで紹介し、併せて、ロボット学の将来の展望についてお話をいただきました。