平成29年度
第3回
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臓器移植は臓器不全症に対する有効な治療法であるが、ドナー臓器の不足、免疫拒絶、脳死移植や生体腎移植等に関して多くの医学的、社会的、倫理的問題を抱えている。近年、iPS細胞作製技術が確立され、患者由来の多能性幹細胞を容易に造り出すことが可能になった。 患者由来の幹細胞から腎臓や膵臓といった実質臓器を再生することができれば、移植医療に関連したこれらの問題を解決することができる。しかしながら幹細胞から立体的な構造を持つ臓器を試験管内で作り出すことは難しい。そこで我々は遺伝子改変により特定の臓器を欠損する動物個体内でiPS細胞利用して患者自身の臓器を作出することを考えた。 この方法は臓器発生の機構を理解するための新たな方法論を提供するとともに、将来的に異種動物個体内でヒトiPS細胞由来の臓器を再生するといった、全く新しい再生医療技術の開発に貢献するものと期待される。